VB6で作られた業務システム、サポートの切れたサーバーで動き続ける基幹処理、 「作った人はもう会社にいない」ツール — 「動いているが、誰も触れない」システムは、 多くの会社で現役です。動いているうちは問題が見えないため後回しにされがちですが、 手を打てるのは「動いている今」だけです。
この記事では、レガシーシステムの移行を手がけるCoconutWorksが、放置のリスクと移行方針の選び方、 現行仕様の調査から始める進め方を整理します。
放置するとどうなるか
- 障害が起きたときに直せない — 中身を触れる人がいないため、止まった瞬間に業務が止まります。復旧の見通しすら立てられないのが最大のリスクです。
- 環境の変化で突然動かなくなる — OSやサーバーの更新、周辺機器の入れ替えなど、システム自体に触れていなくても外側の変化で壊れることがあります。
- 属人化が深まり続ける — 分かる人が退職するたびにブラックボックス化が進み、移行の難易度と費用は年々上がっていきます。
- 業務がシステムに縛られる — 「システムがこうだから」と業務の改善が止まり、周りの仕事の方がシステムに合わせて歪んでいきます。
移行方針は3つ — どれを選ぶか
| 方針 | 内容 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| そのまま移植(リホスト) | 機能は変えず、新しい言語・環境に置き換える | 業務は今のままでよく、環境の老朽化だけが問題のケース | 現行の非効率もそのまま引き継ぐ |
| 作り直し(リビルド) | 業務を見直し、必要な機能を再設計して開発する | 業務とシステムのずれが大きく、この機会に改善したいケース | 要件定義の工数が大きく、期間・費用も大きくなりやすい |
| 段階移行 | 機能・業務単位で区切り、順番に新環境へ移す | 規模が大きく、一度に切り替えるリスクを取れないケース | 新旧併用期間の連携設計が必要 |
どれが正解かはシステムの状態と業務の実態によります。重要なのは、方針を決める前に「現行仕様の調査」を行うことです。 今のシステムが実際に何をしているか分からないまま方針だけ決めると、後工程で手戻りが起きやすくなります。
進め方の5ステップ
- ①現行仕様の調査・棚卸し — 動いている現物とヒアリングから、機能・データ・連携先を整理します。ドキュメントがなくても始められます。
- ②移行方針の選定 — 調査結果をもとに、そのまま移植・作り直し・段階移行(あるいは一部を既製SaaSに置き換え)を判断します。
- ③優先順位と段階計画 — 業務影響とリスクの大きさから着手順を決め、無理のない計画に落とします。
- ④並行稼働・検証 — 新旧を並行で動かし、結果が一致するか・業務が回るかを確認してから切り替えます。
- ⑤切替と運用 — 切り替え後も一定期間は旧環境を残し、問題発生時に戻れる状態を確保します。
よくある失敗
- 「現行通りで」という要件 — 一見ラクな指定ですが、「現行」が何かを誰も説明できないのがレガシーの本質です。調査工程を省くと、完成後に「動きが違う」が噴出します。
- 一括切り替え(ビッグバン移行) — 全機能を一度に切り替えると、問題が起きたときの影響範囲も最大になります。区切れるなら区切るのが原則です。
- 業務を見直さない移植 — 20年前の業務フローをそのまま新システムに写すのはもったいない選択です。少なくとも「今も必要な機能か」の棚卸しはこの機会に行うべきです。
CoconutWorksの対応
弊社は、VB6等の古い言語・環境で稼働するシステムのマイグレーションを、 現行仕様の調査から新環境での再構築まで支援しています。 受託開発(請負)としての移行プロジェクトにも、準委任(SES)で貴社の体制に加わる形にも対応します。 契約形態の違いはSES(準委任契約)とはで解説しています。
よくある質問
Q. 設計書やドキュメントが残っていなくても相談できますか?
A. できます。むしろドキュメントが残っていないケースの方が多いのが実情です。動いている現物のシステムと、実際に使っている方へのヒアリングから現行仕様を調査・整理するところから始めます。
Q. 業務を止めずに移行できますか?
A. 止めない前提で計画します。一括での切り替えではなく、範囲を区切った段階移行や、新旧システムの並行稼働期間を設けて挙動を検証してから切り替える進め方で、業務への影響を抑えます。
Q. どのような契約形態で依頼できますか?
A. 受託開発(請負)としての移行プロジェクトのほか、準委任(SES)で貴社側の体制に加わって進める形にも対応しています。案件の性質に合わせてご提案しますので、契約形態が決まっていない段階のご相談で構いません。
まとめ
レガシーシステムは「動いている今」が唯一の手の打ちどきです。 いきなり大きな移行を決める必要はなく、まず現行仕様の調査で「何が動いているか」を見えるようにするだけでも、 障害時に打てる手が増え、リスクを下げやすくなります。「うちのシステム、どこから手をつければいいか」という段階からのご相談で構いません。システム開発・業務改善サービスのページもあわせてご覧ください。相談・お見積もりは無料です。
執筆: CoconutWorks株式会社 代表取締役 中森 康介 — LINE構築・運用代行、システム開発、AI導入支援を手がけています。会社概要