Column / Web制作

ホームページの更新を社内で回すための引き継ぎ — 権限・手順書・素材の置き場をどうそろえるか

2026.10.14 約15分で読めます
Web制作

お知らせを1件出したいだけなのに、毎回メールで原稿を送って公開を待つ。 料金表の数字が変わったのに、直してもらうまで古い数字が載り続ける。 社内でできるようにしたいと思いつつ、何をどう受け取れば「できる」状態になるのかが分からない。ホームページの更新を社内で回すという話は、 だいたいこのあたりで止まります。

止まる理由は、やり方を教えてもらえないことではありません。 更新に必要なものが権限・手順・素材・判断の線引きという 別々のところに散っていて、どれか一つ欠けただけで手が止まるからです。 管理画面の使い方だけ教わっても、画像の元データが手元になければ写真は差し替えられません。 素材がそろっていても、どこまで触ってよいか分からなければ怖くて触れません。 この記事では、Web制作を手がけるCoconutWorksが、社内更新に移すときに引き継ぐものと、その受け取り方を整理します。 制作会社そのものを変える場合の引き継ぎはホームページの制作会社を変えるときに引き継ぐもので扱っているので、ここでは今の会社との付き合いを続けたまま更新だけを社内に移す、という一点に絞ります。

結論: 社内に引き継ぐものは4つの領域に分かれる

引き継ぐ領域手元にそろえるものないまま運用に入るとそろえ方の要点
入り口と権限管理画面のURL、アカウントの名義、誰が何を編集できるか更新したい日に入れる人が社内にいない状態になります一人に集めず、入れる人を二人以上にしておく
更新の手順自社で実際に起きる作業ごとの手順と、公開までの流れ資料はあるのに、やりたい作業の項が見つかりません画面の機能一覧ではなく、作業の名前で並べてもらう
素材と文章の決まり画像の元データの置き場、サイズや形式、見出しや言葉の書き方更新を重ねるうちに見た目と言葉がばらついていきます完璧な規定は不要。使う場所ごとの最小限で足りる
線引きと相談先社内で触る範囲、相談に戻す範囲、連絡の窓口と反応の目安判断がつかない作業で止まり、更新そのものが止まります触ってよいものを広く、戻すものを少なく具体的に書く

表で見ていただきたいのは、4つのうち3つは技術の話ではないという点です。 管理画面の操作を覚える部分は、比較的軽く済むことが多いところです。 重いのは、誰の名義でどこから入るのかを把握すること、自社で起きる作業に沿った手順を残すこと、 そして触ってよい範囲を決めることです。 引き継ぎがうまくいかないときは、操作説明だけを受け取って、残りの3つが空いていることが少なくありません。以下、順に掘り下げます。

「更新できます」と言われたのに止まるのはなぜか

制作を依頼した時点で「更新は御社でもできますよ」と言われていたのに、 実際には一度も更新していない——という状態は珍しくありません。 ここで起きているのは約束の不履行ではなく、できるかどうかの話と、やれるかどうかの話が別だということです。 仕組みとして編集できることは事実で、それでも社内の誰も手を動かさないのは、 入り方を知っている人がいない、手順が残っていない、崩したら戻せないと思っている、のどれかが効いています。

たとえば、従業員が十数名の会社で、ホームページの窓口を総務の方が兼任しているとします。 制作時の打ち合わせには出ていたものの、公開後は制作会社に連絡するだけで済んでいたため、 管理画面に入ったのは最初の説明のときだけ。 半年後に料金改定でページを直す必要が出て、やっと入ろうとしたらログイン情報が分からない。 前任者のメールに届いていた案内を探すところから始まる——この回り道が、「社内では無理だ」という結論に変わっていくのが典型的な流れです。

もう一つ、心理的なつまずきがあります。 ホームページは外から見えるものなので、間違えたときの気まずさが更新頻度に効いてきます。 誤字を出してしまった、表が崩れたまま数日気づかなかった——こうした経験が一度あると、 次からは制作会社に頼むほうが安心になります。 ですから社内更新に移すときは、操作を覚えてもらうことより、間違えても戻せる状態と、気づける手順を先に用意するほうが定着します。

権限は人ではなく役割で配る

最初に確かめたいのは、管理画面に入れるアカウントが誰の名義になっているかです。 制作会社の担当者の名義しかない、あるいは当時の担当者の個人アドレスで作られている、という形はよく見かけます。 この状態は普段は困りませんが、担当が変わった瞬間に入り口が閉じます。 そして、閉じたことは入ろうとした日まで分かりません。

そろえ方は難しくありません。会社として使えるアドレスでアカウントを作り、 誰が編集できて誰が公開できるのかを一覧にしておくだけです。 多くの管理画面には権限の段階が用意されているので、 文章を書くところまでの人と、公開まで押せる人を分けることもできます。 分けるかどうかは、確認してから出したいかどうかで決めてよい部分です。 一人で全部やるなら分けなくてよく、原稿を書く人と確認する人が別なら分けたほうが回ります。

注意したいのは、入れる人を一人にしないことです。 その人が休んだ週は更新が止まり、辞めれば入り口ごと分からなくなります。 かといって全員に配る必要もありません。更新する人と、入り口と名義を把握している人の二人がいれば足ります。 後者は更新作業をしなくてよく、年に一度実際に入ってみるだけでも、 「入れるはずだが誰も試していない」という状態を避けられます。 名義の整え方はホームページ制作の契約前に確認することでも触れています。

手順書は画面の説明ではなく、業務の流れで書いてもらう

引き継ぎ資料として渡されるものには、大きく2つの書き方があります。 一つは管理画面の機能を順に説明したもの、もう一つは自社で起きる作業ごとに手順をたどったものです。 前者は網羅されていて立派に見えますが、使う場面では開かれません。 やりたいことは「お知らせを1件足す」であって、そのために画面のどの機能を使うのかは、こちらには分からないからです。

ですから、依頼の仕方を変えるのが早道です。 「マニュアルをください」ではなく、残したい作業の名前を挙げて頼みます。 お知らせを1件追加する、スタッフ紹介の写真を差し替える、料金表の文言を直す、問い合わせ先の電話番号を変える—— 自社で実際に起きることを3〜5個挙げれば十分です。 多ければ良いわけではなく、むしろ使う作業に絞ったほうが読まれます。 網羅を目指すと作る側の手数も増え、更新のたびに古くなる部分が増えていきます。

手順に入れておきたいのは、操作の順番だけではありません。 公開前に下書きの状態で見る方法、公開したあとに反映を確かめる方法、 そして間違えたときに元に戻す方法です。 最後の一つが書かれていると、社内担当者の心理的な負担がかなり下がります。 戻せると分かっていれば試せますし、試せる人は手順を自分で更新していけます。 反対に、戻し方が書かれていないと、小さな更新も「念のため聞いてから」になります。

手順書を自社で書き足していく前提にしておくのも一つの手です。 引き継ぎ時点の資料を元にして、実際に更新した人が詰まった箇所を書き足す。 渡された資料をそのまま保管しておくより、使われ続ける形になります。

画像と文章は「置き場」と「最小限の決まり」をそろえる

更新を始めてから効いてくるのが素材の問題です。 サイトに載っている写真は、たいていサイズを調整したり切り抜いたりして使われています。 その元のデータが手元にないと、 似た写真に差し替えようとしても見た目がそろわず、 結局「写真は制作会社に頼む」ところへ戻ります。 ロゴも同じで、小さく貼られた画像しか手元にないと、別の場所で使えません。

引き継ぎのときに頼むのは、元データの置き場所と、使っているサイズ・形式の一覧です。 社内のどこに置くかは先に決めておきます。 担当者の手元のパソコンだけにある状態は、引き継いだことになりません。 あわせて、新しく写真を撮るときの目安(横向きで撮る、この比率で切る、といった程度)を聞いておくと、 自社で用意した写真でも並びが崩れにくくなります。

文章のほうは、細かい規定を作る必要はありません。 決めておくと効くのは、見出しに社名を入れるかどうか、 日付の書き方、サービス名の表記(カタカナか英語か、全角か半角か)といった、迷ったときに毎回考え直す項目だけです。 これを一枚にまとめておくと、更新する人が変わってもサイト全体の言葉がばらつきません。 逆に、作り込んだ表記ルールは読まれないまま置かれることが多いので、 最初は使う場所ごとの最小限で始めて、迷った項目を足していくほうが続きます。

社内で触る範囲と、相談に戻す範囲を線引きする

社内更新に移すとき、いちばん決めておきたいのが範囲です。 全部を社内に寄せると難しい作業で止まり、全部を頼むと元の状態に戻ります。 目安としては、文章の差し替えと写真の差し替えまでは社内、 レイアウトの変更・新しいページの追加・フォームや予約の設定変更は相談、という分け方が収まりやすいところです。 前者は崩れにくく、後者は見た目や動きに影響が出やすいという違いがあります。 保守契約に何が含まれるかを契約前に確かめる観点はホームページ制作の契約前に確認することで扱っているので、ここでは契約がすでに決まっている前提で、社内で触る範囲の決め方に絞ります。

この線は、引き継ぎのやりとりの中で言葉にしておく必要があります。 「更新は貴社でもできます」で終わっていると、どこから崩れるのかが分からないため、 結局どこも触らないという選択になりがちです。 反対に、触ってよいものを広く具体的に挙げてもらい、戻すものを少なく明記してもらえれば、 社内担当者は挙げられた範囲については迷わず手を動かせます。

やりとりの中で曖昧になりやすい言葉を並べます。 どれも相手が隠しているわけではなく、双方が自然に読める言い方であるために起きるものです。

よくある言葉あとで困ること書き足すこと
管理画面の操作マニュアルをお渡しします機能の説明書が届き、自社の作業の手順は書かれていないことがあります手順に残したい作業を3〜5個挙げて、その流れで書いてもらう
更新は貴社でも可能です可能な範囲が分からず、どこから崩れるのかも分かりません社内で触ってよい箇所と、相談に戻す箇所を具体的に挙げる
画像はご支給いただいたものを使用しています加工後のデータが手元になく、差し替え時に元に戻せません元データの置き場所と、使っているサイズ・形式を一覧でもらう
軽微な修正は保守内で対応します軽微の線が人によって違い、毎回の確認が発生します例を挙げて、含まれる作業と別見積もりになる作業を分けて書く

右の列はいずれも、対象の具体名・置き場所・含まれる範囲を足しているだけです。 契約書を作り直す必要はなく、打ち合わせの記録に同じ粒度で書いて相手に確認してもらう形でも効きます。 保守の範囲そのものの決め方はシステムの保守契約で確認すべきことで扱っている考え方がそのまま使えます。

迷ったときのチェックポイントと、進めていく順序

社内更新に移す前に、次の5点に答えられるか確かめてみてください。 詰まった項目は、運用を始めてから「これでは更新できない」として出てくる場所です。

  • ①管理画面に今日入れる人が社内に二人いるか — 名義が制作会社や前任者のままになっていないか。
  • ②自社で実際に起きる更新作業を3つ挙げられるか — 挙げられない状態で手順書を頼むと、機能の説明書が届きます。
  • ③写真とロゴの元データが社内の置き場にあるか — 担当者の手元だけにある状態は引き継ぎ済みとは言えません。
  • ④触ってよい箇所と戻す箇所を言葉にしてあるか — 「可能です」で止まっていないか。
  • ⑤間違えたときに元へ戻す方法が書かれているか — ここが空いていると、小さな更新も止まります。

進める順序としては、①入り口と名義を確かめて会社の名義にそろえる → ②社内で更新したい作業を3〜5個書き出す → ③その作業に沿った手順と、戻し方を書いてもらう → ④素材の元データと置き場をそろえる → ⑤触る範囲と戻す範囲を言葉にして相手に確認する → ⑥いちばん軽い1件を、担当者が自分で公開してみるという流れが無理がありません。

⑥を入れているのは、資料がそろったかどうかは実際に1件通してみるまで分からないからです。 引き継ぎの場で聞いて納得しても、一人で画面に向かうと詰まる箇所が出てきます。 そこで出た質問をその場で聞けるうちに済ませておくと、あとから連絡を取り直す手間が省けます。 最初の1件は、お知らせの追加のように影響の小さいものを選ぶとよいでしょう。

よくある誤解と、起きやすい失敗

「管理画面の使い方を教われば更新できる」 — 操作は4つの領域のうちの一つにすぎません。 入り口の名義が整っていなければそもそも入れず、素材がなければ写真は差し替えられず、 範囲が決まっていなければ触るのをためらいます。 引き継ぎの場を一度だけ設ける場合は、操作の説明に全部の時間を使わず、 名義・素材の置き場・範囲の確認にも時間を割り振ったほうが、あとが楽になります。

「詳しい人が入社したら社内に移そう」 — 待っているあいだに、 引き継ぎを受けられる相手(当時の担当者)がいなくなることがあります。 社内更新に必要なのは専門知識ではなく、入り口と手順と素材がそろっていることです。 詳しい人がいないからこそ、資料が具体的である必要があるという順番で考えるほうが実際的です。

「社内でやれば費用が減る」 — 更新を頼む分の費用は減りますが、 社内の時間は使います。原稿を書き、写真を選び、公開して確かめる時間は見積書には出てきません。 社内に移す意味は費用より更新までの時間が短くなることにあります。 お知らせや料金のように出すタイミングが決まっているものは、この差が効きます。 反対に、更新が年に数回しかないなら、社内に移さず頼み続けるほうが素直なこともあります。

「一度引き継げば、あとは社内で回る」 — 引き継ぎ直後は動いていても、 担当者が変わると止まることがあります。止まる原因は毎回同じで、入り口と手順が前任者のところにあったからです。 ですから、引き継ぎの成果物を社内の共有の場所に置き、 担当が変わるときにそこを渡す、という形にしておくと持ちます。 更新が止まったまま年数が経ったサイトをどう扱うかはホームページをリニューアルすべきかで扱っています。

よくある質問

Q. 更新を社内でやるようになると、制作会社との付き合いは切るものでしょうか
A. いいえ、むしろ残しておくほうが社内で回りやすくなります。社内に移すのは、文章の差し替えやお知らせの追加といった日常の更新です。表示が崩れた、スマートフォンで見ると重なる、検索結果に出てこなくなった——こうした「直し方が分からないもの」を自社で抱えると、触るのが怖くなって更新そのものが止まります。日常の更新は社内、仕組みに関わる部分は相談、という二段構えにしておくと、社内担当者が安心して手を動かせます。保守の範囲の決め方は保守契約の記事でも扱っています。
Q. 担当者が一人しかいないのですが、それでも引き継ぎを受けられますか
A. 受けられますが、一人のままにしないことをおすすめします。更新できる人が一人だと、その人が不在の週は更新が止まり、退職すればログイン情報ごと分からなくなります。やることは難しくありません。管理画面に入れるアカウントをもう一つ作っておき、年に一度でも実際に入って更新してもらう。それだけで「入れるはずだが誰も試していない」状態を避けられます。二人目は必ずしも更新を担当する人でなくてよく、総務や管理部門の方が名義と入り口を把握しているだけでも効きます。
Q. 引き継ぎの資料は、こちらから何を頼めばよいですか
A. 「マニュアルをください」ではなく、更新したい作業の名前を挙げて頼むのが確実です。たとえば「お知らせを1件追加する」「スタッフ紹介の写真を差し替える」「料金表の文言を直す」のように、実際に起きる作業を3〜5個挙げて、その手順を書いてほしいと伝えます。画面の機能を網羅した資料より、自社で起きる作業に沿った資料のほうが実際に使われます。あわせて、ログインの入り口と名義の一覧、画像の元データの置き場所を依頼すると、あとから困る部分がほぼ埋まります。
Q. 古いホームページで、そもそも社内で更新できる作りなのか分かりません
A. 管理画面があるかどうかで分かれます。ログインして文章を書き換えられる作りなら社内更新に移せますが、ページそのものをファイルとして作っている場合は、文字を一つ直すのにも制作側の手が必要です。この場合、引き継ぎを受けるより先に、作り直すかどうかの判断が入ります。どちらにするかは、更新したい頻度と、今のサイトを何年使うつもりかで変わります。リニューアルを考える時期の目安は別記事で扱っています。
Q. 社内で更新すると、デザインが崩れてしまいそうで不安です
A. 不安はもっともで、実際に起きます。ただ、崩れるのは触ったからではなく、どこまで触ってよいかが決まっていないために起きます。文章の差し替えと画像の差し替えまでは崩れにくく、レイアウトの変更や新しいページの追加は崩れやすい——この線を引き継ぎの時点で引いておけば、社内で触る範囲は安全側に収まります。あわせて、公開前に確認できる手順(下書きの状態で見る、公開後にスマートフォンで見る)を手順書に入れておくと、崩れても気づける形になります。

まとめ

ホームページの更新を社内で回すために引き継ぐものは、 入り口と権限・更新の手順・素材と文章の決まり・触る範囲の線引きの4つです。 このうち操作の説明だけを受け取ると、入り口が閉じていたり素材が足りなかったりして手が止まります。 入れる人は一人にせず、手順は画面の機能ではなく自社で起きる作業に沿って書いてもらい、 写真とロゴは元データの置き場までそろえる。 そして、触ってよい範囲を広く具体的に、戻す範囲を少なく明記する。 最後に軽い1件を担当者が自分で公開してみれば、足りないものがその場で分かります。 引き継ぎの進め方や、社内で回せる形での制作のご相談はWeb制作サービスのページから承っています。相談・お見積もりは無料です。

執筆: CoconutWorks株式会社 代表取締役 中森 康介 — LINE構築・運用代行、システム開発、AI導入支援を手がけています。会社概要

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